• 2017年 10月 18日

FCバルセロナ一つ目の壁~スアレス復帰後のバルサ~

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ルイス・スアレス写真素材

ルイス=エンリケ(以下エンリケ)率いるバルセロナが壁にぶつかっています。クラシコに敗れた後、セルタにも敗北し、まさかのリーグ戦2連敗です。リーグ戦での連敗は2009年以来。序盤戦のロケットスタートで、バルセロナをよみがえらせたと絶賛されていたエンリケですが、チームの調子が落ちてくるにつれ、徐々に批判も見られるようになってきました。興味深いのはルイス=スアレス(以下スアレス)の復帰試合から、連敗が始まった点です。ラキティッチ、マテューを開幕からチームに溶け込ませたエンリケですが、スアレスをフィットさせるには少し苦戦しているようです。序盤戦リーガの優勝争いを引っ張ってきたバルセロナの今後を、スアレスの動きと合わせて考えます。

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スアレスはバルセロナにフィットしているのか

一番気になるのは、長期欠場から復帰したスアレスがチームにフィットしているかという点です。これについては非常に解釈が難しくなります。表現は難解ですが、スアレスはバルセロナにフィットしていますが、バルセロナはスアレスにフィットしていないと言えるかと思います。

過去の記事「バルセロナの夢の3トップ!スアレス獲得の狙いとは!」で、バルサで求められる役割について触れましたが、現時点ではスアレスはバルセロナのメカニズムを正しく理解して、プレイしているいえます。攻撃においてもフィニッシュワークにいたる直前までパスで崩す形を貫いており、右サイド、センターのどちらでも機能していると言えます。では逆にスアレスの持ち味が試合の中で生かされているのかというと、まだまだ生かされてはいないという事ができるでしょう。

スアレスは混戦の中でもゴールに向かう力が非常に強い選手です。また、ゴール前で頻繁に動くことで、ボールを受け局面を動かすことが可能です。そういった能力はまだバルセロナの試合の中で発揮されていません。

バルセロナの攻撃は非常にシステマチックです。短い距離でボールを止めることなく動かし続け、ディフェンスの小さなギャップにプレイヤーとボールが入り込みます。そういった動きはもともとスアレスが得意とするところではありますが、本来のスアレスのプレイはバルサのシステムが実現するプレイよりも荒っぽいものです。コンビネーションで崩したスペースではなく、もっと小さなスペースに強引に入り込んでいき、一瞬の動きだけで勝負を決めるような動きが可能なのです。

完璧ではない崩しでもゴールを出来るスアレスというプレイヤーを、まだバルサのチームメイトが理解できていないというのが現状ではないでしょうか。もっと乱暴なパスであっても、スアレスは局面を打開してくれるはずです。バルセロナというメカニズムの中で、スアレスが本当に生きるのかどうか、今後も注目していかなければいけないでしょう。

インテンシティーの低下

スアレスの問題よりも気になるのは、バルサのハイプレスが持続しきれていない点です。エンリケが就任した当時はメッシまでがハイプレスに参加して、ボールロスト時には強烈なプレッシャーをかけてボールを奪い返していました。現在のバルサはシーズン開始直後に比べると、十分なプレッシャーをかけられていません。

このハイプレスの問題は、攻撃のメカニズムも関係しています。エンリケはバルセロナに早い攻撃とサイドチェンジを導入しました。今季はネイマールのスピードを生かした攻撃が良く見られています。また今までのバルサではあまり見られなかった、大きなサイドチェンジでディフェンスを崩すシーンも見られます。バルセロナの攻撃は近い距離に複数のプレイヤーが存在します。そのため、ディフェンスもその近くに密集する傾向が見られます。そのため単純なサイドチェンジであっても、1対1の局面を作る事や、場合によってはフリーでゴール前に切り込むことが可能になります。

しかし、このプレイはハイプレスをかけるという観点から見ると、逆にデメリットが発生します。ボールを失った場合、その周りにバルセロナのプレイヤーが不足しているために、うまくプレスがかからないのです。

開幕当時はバルセロナがサイドチェンジをしたり、メッシからのロングパスで速攻をかけてくること自体が目新しく、相手チームの対応が不十分でシュートまで持っていくことができていたため、その弱点があまり露見しませんでした。しかしシーズンが進むにつれて、対応されるようになってきたため、攻撃が止められるだけでなくハイプレスをかけられないという問題点が発生しているのです。

このことはハイプレスを制限するだけではなく、ラキティッチが守備にまわる局面を増やしてしまっています。開幕当初はラキティッチはメッシを追い越していくようなプレイも多く見られましたが、現在はかつてほどはダイナミックに動けていません。

バルサがシーズン序盤ほど圧倒的な試合を出来ていない理由は、このハイプレスの機能不全です。

バルセロナの完成形とは

エンリケが目指すバルセロナの完成形は、フィールドを広く使って攻める局面と、狭いエリアを攻略する2つの局面に高いレベルで対応できるチームではないかと思います。狭いエリアを攻略する場合はボールロスト時はハイプレスをかける。逆サイドに展開した場合は、シュートで終わる、ないしは素早く自陣に戻ってディフェンスを整えるということが最終形に思えます。

そのために必要な事は、サイドチェンジや速攻で局面を打開できるプレイヤーを活かすことです。これはネイマールとスアレスが役割を担うはずです。メッシ、イニエスタ、ラキティッチ、ブスケッツがワンサイドによって攻略を試みます。相手チームのセンターバック2枚を釣り出すことが出来れば、そのまま逆サイドにボールを展開し、能力の高いストライカーの1対1でディフェンスを攻略します。勿論、ポゼッションをしている中で攻め切れるのであれば、そのままゴールに迫っていくはずです。

難しいのはディフェンスの局面で、ハイプレスをかけるのかリトリートをするのかの使い分けです。ハイプレスに人数をかけるのか、リトリートするのかは状況によって異なるのですが、チーム全体で共有できていなければ中途半端なハイプレスになってしまい、逆に相手にチャンスを与えることになります。イメージとしてはサイドチェンジを行ったタイミングで、ボランチとインサイドハーフは守備ポジションに移動するような形になるのではないでしょうか。

ここが完成すれば、エンリケのバルセロナは再び輝き始めるはずです。

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版権: natursports / 123RF 写真素材

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