• 2017年 8月 20日

WC2014の日本代表に見る、アジアパスサッカーの限界

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ブラジルワールドカップ(以下WC)で、日本代表の戦績は1分2敗に終わりました。結果だけ見れば、日本代表が目指して作り上げてきたパスサッカーは、WCで通用しなかったという事になります。史上最強とも言われた日本代表が、なぜWCの舞台で通用しなかったのか。日本代表の置かれたアジアという環境から、その理由に迫ります。

ボール保持率から見る日本代表の戦い

日本が標榜したパスサッカーは、現在では世界でのトレンドの一つと言える戦略です。ここ10年のスペイン代表・バルセロナの活躍を契機に、世界中でパスサッカーを標榜するチームが現れました。

日本代表のボールキープ率をみると、コートジボワール戦が42%、ギリシャ戦が74%、コロンビア戦が60%です。ギリシャとコロンビアは、カウンターサッカーのチームですので対戦相手にボールを持たせるという事が戦術上の約束事になっています。日本のボールキープ率が高かったとしても、それは持たされたということにすぎません。

問題視すべきはコートジボワール戦の42%という数字です。コートジボワール自体はパスサッカーのチームではありません。しかし中盤でプレスをかけた結果、日本がボールロストをし続けたためこのような結果になったのです。

何故ボールが保持できなかったのか

では何故コートジボワール戦で、日本代表はボールロストを繰り返してしまったのでしょう。試合を見ていて顕著だったのは、中盤でのボールロストです。本来は日本のストロングポイントであるはずの中盤でボールを失ってしまうという事は、パスサッカーとしては致命的です。

様々な識者がコンディション不良と、WCの雰囲気にのまれたという点を再三にわたり指摘しています。勿論そういった事情はあったのだと思いますが、それらの議論の殆どが日本代表は本当の力が出せなかったという観点なのですが、果たしてそうでしょうか。万全のコンディションだったら、コートジボワールに対してボール保持率を高めた試合ができたのかというと甚だ疑問です。

コートジボワールと日本の体格差は、MFに限って考えると5cm以上あります。運動能力の高い大柄の選手が激しいはいプレスをかけたときに、その圧力を乗り越えたパスサッカーが展開できるのかどうかという点が問われているのです。実際の試合を見ている限り、難しいと言わざるを得ないのではないでしょうか。

アジアの盟主という微妙な立場

パスサッカーを行うためには、相手のプレッシャーをかわすことは必ず必要です。事実日本も、アジアとの試合では持前の技術力を発揮しプレスをかいくぐっています。アジア予選やアジアカップなどでの、痛快なサッカーを覚えている方も多いのではないでしょうか。

日本人選手のボールスキルが低いからボールを奪われるのかという点については、あまり結論を急ぎすぎないほうが良いでしょう。実際、本田・長友・香川・細貝・清武などの選手は、海外のトップリーグでプレッシャーにさらされてもボールを保持することが出来ています。

足りないものは、チーム全体でのプレス対応の約束事なのでしょう。個々の選手がプレスをかわそうとしたときに、周りがボールを受けに行ったり、プレスをかわすようなパス回しが出来ていないのです。

個人ではなくチームスキルが足りないのは、本気で戦う機会の少なさが原因と考えることが出来ます。

日本代表が対戦相手と本気で戦う機会というのは限られています。正確には対戦相手が日本代表との試合に、本気で取り組む機会という意味です。

WC本番を除けば、アジアカップとアジア予選のみと言えるでしょう。欧州・南米の列強と様々な親善試合は行いますが、WC本番に比べると対戦相手のモチベーションは全く異なるはずです。

アジアのチームはヨーロッパ・南米・アフリカに比べると体格や身体能力が劣ります。当然、試合中にかかるプレスの強度も大きく異なります。アジア予選やアジアカップでの経験で確立したパスサッカーでは、世界ではなかなか通用しないという事が言えるのではないでしょうか。

日本代表がどのようなサッカーを目指すにしろ、実戦の場がアジアしかないという問題は永遠につきまとうでしょう。21世紀はアフリカの時代になるとかつて言われた中で、アフリカ勢がWCで結果を出せていないのも、同じ理由があるように思います。

これを解消するためには経験を積む場所を確保しなければなりません。最善の手段としては、コパアメリカへの出場という事になるでしょう。南米のチームが、優勝のために本気で争う短期決戦で得られるものは、非常に大きいはずです。Jリーグとの兼ね合いや、日本では親善試合扱いになるため海外の選手の招集が難しいなど、様々な課題は山積みですが、参加する価値は非常に大きいでしょう。

協会には参加するための手段を、なんとか検討してほしいものです。

(アイキャッチ:SAMURAI FOOTBALL 2014ワールドカップブラジル大会 日本代表激闘全記録[完全保存版]/イースト・プレス

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