• 2017年 4月 30日

オランダの快進撃に見る、古典的カウンターサッカーの魅力

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ワールドカップ(以下WC)で快進撃を続けるオランダ。本記事作成時点ではベスト4でアルゼンチンとの対決を待つ状態ですが、WCの開始前は予選突破も危ぶまれていました。タレント力の低下、中心選手であるファンデルファールトとストロートマンの離脱など、明るいニュースがほとんどない状態でスタートしたWCで、なぜこれほどの結果を残すことが出来たのでしょうか。そこには古典的なカウンターサッカーの魅力がつまっています。

こんなオランダはオランダじゃない

オランダのサッカーといえば、トータルフットボールです。攻撃的な4-3-3でフィールドを広く使い、ボールを回して主導権を握るサッカーこそがオランダらしいサッカーでしょう。

しかし、今回のオランダは3-4-1-2で後ろに下がって、カウンターから勝利を積み重ねています。その姿は、もっと早くこうしていればよかったのではないかと思うほど、安定感抜群のカウンターサッカーです。

考えてみると、現在のオランダのメンバーはカウンターサッカーに最適です。スピードのあるドリブラー(ロッベン)、決定力のあるフォワード(ファンペルシ)、長いパスを出せるプレイメイカー(スナイデル)がいます。スペースがあれば、一人で勝負を決めることができる人たちばかりです。

そういう考えると、ファンデルファールトとストロートマンのケガで中盤を維持できなくなったことで生まれたカウンターサッカーですが、もともと完成度が高いと言えなかったポゼッションサッカーを捨てる、よいきっかけになったのかもしれません。

すべての試合とは言いませんが、オランダのディフェンスラインは深く設定されています。守備から入るという意識が徹底されているためでしょう。攻撃的なイメージから入った試合でも、押されてくるとゴール前に密集を作ります。このことには躊躇はないようで、逆に広いスペースを狙われてピンチに陥ることは殆どありません。

これはカウンターサッカーの中でも非常に古典的な戦略と言ってよいでしょう。前からのプレスによるショートカウンターを狙うのでははありません。ファーストディフェンダーがボールにプレッシャーをかけるとしても、その間に他の選手は自陣に戻っていきます。

それにしてもオランダらしくないオランダ。まるでイタリアの試合を見ているかのようですが、そこにはサッカーの醍醐味が詰まっています。

カウンターサッカーの魅力

オランダの快進撃は、昨今のボールを回すポゼッションサッカーや、目まぐるしく攻守の入れ替わる杯プレスとショートカウンターといった、最新の戦術以外にもサッカーの面白さがある事を思い出させてくれます。

攻撃され続けるストレスと一瞬の攻撃のカタルシスの絶妙な組み合わせは、最近ではバルサと戦う時のレアルマドリード(モウリーニョ監督時代)でしか見ることのなかったものです。

カウンターサッカーの大きな魅力は、相手チームの攻撃が最大限に引き出されるという点にあります。2006年大会のイタリアもそうでしたが、ディフェンダーが密集するゴール前の何とか攻略しようとする相手チームの奮闘は、攻撃的な選手が多ければ多いほど見どころがあります。

今回のオランダの場合は、守備だけでなく攻撃も楽しめます。体調万全のロッベンがスペースをつく攻撃は、スピード感抜群です。ボールを持っていないディフェンダーが追いつけないドリブルというのは、本当に異次元の速さと言えます。

スタミナを消費する守備の局面が長く続く中での、選手の頑張りや集中力もカウンターサッカーの魅力と言えるでしょう。特にベテランのカイトの奮闘は、見ていて胸が熱くなります。試合開始前から額に汗が浮かんでいるような高温多湿の南米で、最後まで走り続けるベテランの奮闘は、きっと若手の良い見本になっていることでしょう。

今大会の最大のサプライズ

カウンターサッカーそのものは、今回のWC全体のトレンドと言えます。しかしオランダが他チームと異なるのは、その徹底ぶりと言えるでしょう。

主導権をとった試合は実にコスタリカ戦のみ(残りの試合の相手を考えても、これはほぼ間違いないでしょう)。そのコスタリカ戦にしても、延長戦ではほぼ主導権を握られています。

予選のデータでいえば、オーストラリアを相手にテクニックで勝るオランダがボール支配率が50%というのは、ほぼポゼッションの放棄といってもいい数字でしょう。主導権をとることのできる局面でも、とらないという決断ができる。守って勝つという意識が徹底されているから、選手は集中力を切らさずに守り切ることができるのです。

延長でも、PK戦でも、とにかく勝つ。そんな粘り強く、相手チームにとってはいやらしいチームにオランダが仕上がったのは、その監督がファンハールであるという事も含めて、本当に意外です。今大会の最大のサプライズと言って間違いないでしょう。

オランダが怪我なくフルメンバーで挑んでいたとすると、これほどの好結果は残せなかったのではないかと思います。そういう意味でも、本当に4年に1回のWCというのは、ドラマが詰まっているなあと感じます。

余談ですが、イタリアがポゼッションに舵を切ってしまったので、オランダには今後カウンター大国としての地位を築いて欲しいところです。とはいえ、そんなことはあり得ないと思いますが。

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One Comment

  1. 試合を観られなくとも、海外旅行でサッカーを楽しむ方法【オランダ編】 | FCクロコダイル
    2015年4月27日 at 9:40 AM 返信

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