• 2017年 11月 23日

セスクファブレガスは何故バルサにフィットしなかったのか

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セスク・ファブレガス(以下セスク)がチェルシーに今季移籍しました。2011年夏にアーセナルを離れてバルセロナ(以下バルサ)に移籍したものの、在籍したのは3年間だけでした。幼少期をバルサのカンテラ(ユーズ)で育ち、アーセナルで大成したセスクにとっては、バルサ在籍は華々しい期間となるはずでしたが、結果として両者の関係は3年で終わってしまいました。多くの人が指摘するように、セスクはバルサで能力を最大限に発揮する事ができませんでした。バルサのフィロソフィー(哲学)を知っているはずのセスクが、いったいなぜ本領を発揮する事ができなかったのでしょう。その要因から、バルサのフィロソフィーとセスクの未来について考えます。

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バルサのフィロソフィー

セスクがバルサにフィットしなかった理由を知るためには、バルサのフィロソフィーを理解しなければいけません。バルサのフィロソフィーとは言わずと知れたポゼッションサッカーです。そしてバルサのポゼッションは他のチームのポゼッションとは異なる理論に基づいて展開されています。一般的なポゼッションサッカーは二つの要素で成り立っています。ボールを回して相手の引いた守備を崩すという考え方と、ボールを失わない限り失点しないという考え方です。ポゼッションを高めることは、失点のリスクを減らしながら、得点のチャンスを得ることにつながるのです。しかしバルサのフィロソフィーは、その一歩先をいっています。バルサにおいてはポゼッションはネガティブトランジション(攻→守の切り替え)をコントロールする手段でもあるのです。

バルサがボールを回す時に重視することは、プレイヤー間の距離です。近い距離で複数のプレイヤーがパス交換をすることで、鮮やかなパスワークが実現します。しかしそれだけでなく、距離が近いという事はボールを奪われた場合に、ボールの周りにバルサのプレイヤーが多く存在する事にもなるのです。そこで攻守が入れ替わった瞬間から、バルサのプレイヤーがボールにプレッシャーをかけることができるというのが、バルサのポゼッションの正体です。

 埋没しきらないセスクの個性

セスクはパス、ドリブル、シュート、どれをとっても非凡な才能を持った選手ですので、バルサでそのフィロソフィーに基づいてプレイする事は可能でした。しかしセスクのその最大の特徴は、長くて速いパスにあります。ボールを奪った直後に相手のディフェンスの乱れをついた場所にパスを送り込んだり、攻撃が停滞したときにピッチを斜めに横切るようなロングパスを送ることができます。そういったセスクのプレイは一般的なチームでは、非常に大きな武器になります。しかしバルサにとっては、相手の守備陣形の乱れを突く事よりも、自分たちのオフェンスの形を満たすことの方が重視されます。

中途半端なプレイヤーであれば、バルサに合わせる形で能力を修正する事もあったかと思います。しかしセスクのパスはあまりにも強力だったため、しばしば得点に結びつくという結果を生み出しました。結果としてバルサ自身が縦に早いセスクのプレイをチームに取り込もうとすることになり、バルサのリズムが乱れることになってしまったのです。バルサには、メッシ、シャビ、イニエスタという中軸を担う選手が居ました。この3人の周囲でそのほかの選手として埋没する事ができれば、逆にセスクはチームに溶け込むことができたでしょう。しかし、セスク自身が強い輝きを放っていたため、チームと両立する事ができなかったと言えます。

輝けるプレミアの舞台へ

セスクの移籍先であるチェルシーは、セスクにとっては最良のチームといえます。また、プレミアリーグ自体がセスクのようなスピーディーなプレイヤーが活躍しやすいリーグですので、活躍は約束されたも同然でしょう。セスクが最も輝く局面はポジティブトランジション(守→攻)の状態です。特に自陣の深い位置でボールを奪った直後でも、セスクは即座にフィールド全体の状況を把握し、味方のFWが狙っているスペースにボールを出すことができます。スペースが無い場合は、コンビネーションやドリブルで一気に前に出ることで、ディフェンスをさらにかき回して、スペースを生み出すこともできます。

モウリーニョが監督を務めるチェルシーは、ディフェンスの決まり事がしっかりしており、ひいて守ることも得意としています。ボールを奪ったのが自陣であっても、セスクにボールを渡せば一気にカウンターを展開する事ができます。さらにセスクは基本的な能力が高いため、バルサで証明したように、ポゼッション時にも活躍する事が可能です。チェルシーとセスクは理想的な関係を築くことができるでしょう。バルサファンやアーセナルファンにとっては複雑な気持ちでしょうが、セスクにとってはベストといえるようなチームに移籍したと言えるかもしれません。

※最上部の画像とアイキャッチ画像は版権: szirtesi / 123RF 写真素材 より

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