• 2019年 10月 15日

マンチェスターユナイテッド再建への道

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マンチェスターユナイテッド(以下マンU)といえば欧州屈指の強豪クラブとして有名です。世界中にサポーターを持ち、プレミアリーグ、チャンピオンズリーグのどちらでも優勝争いの常連でした。そのマンUが、以前ほどの強さはありません。2014-15シーズンは驚いたことに、チャンピオンズリーグだけでなくヨーロッパリーグの出場権もありません。プレミアリーグの優勝候補に名前が挙がることもありません。一体なぜマンUはそんなことになってしまったのでしょうか。そして危機から脱するために必要なものは何なのでしょうか。ヨーロッパ屈指の強豪の未来を占います。

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マンUというブランド

マンUは一説では、世界で最も多くのサポーターを有するチームといわれています。国際的な人気サッカーチームの先駆けと言える存在で、世界各国から様々な形で収益を上げています。

その事実こそが、現在のマンUの危機そのものといえます。世界中の人々がマンUを応援していますが、それは郷土愛のような普遍的なものではありません。マンUが赤い悪魔といわれるほどに強く、魅力的なサッカーをしていたからこそ、世界中の人が応援していたのです。昨季のマンUはプレミアリーグ中位に沈み、EL出場権も得ることができませんでした。仮にこの状態が2-3年続いたとした場合、世界中のファンがマンUから離れていくことは間違いありません。そうなれば財政面での優位を失うことにもなりかねません。

また選手から見たマンUというチームも同様です。マンUが世界有数の人気チームであり、勝利できる可能性の高いチームであるからこそ、有望な選手がマンUへの移籍を希望するのです。選手が移籍をする場合には、クラブ間の交渉でも優位に立つことができ、移籍金を抑えることもできます。

もし、マンUというブランドが傷つけば、これらのメリットがすべて失われます。それを避けるためにも、マンUは早期にチャンピオンズリーグへの出場権を獲得できる、プレミアリーグでの優勝争いに加わることができるチームを作り出すことが必要なのです。

アレックス=ファーガソンの存在

マンUの低迷には、「サー」と言われた監督アレックス=ファーガソンが大きくかかわっています。直接的には、ファーガソンの退陣による指導力の低下が、昨季マンUが順位を大きく落とした原因と言えます。また一方では、ファーガソンが残したチームの選手のクオリティ不足が、現在の戦績を残した原因ともいえます。そういう意味では、ファーガソンは最悪の時期に退陣したと言えます。

ファーガソンは退陣直前のシーズンにプレミアリーグを制しましたが、それはライバルチームは軒並み混乱しているという、特殊な状況でした。チェルシーはラファエル=ベニテスがファンと衝突しており、マンチェスターシティはマンチーニが選手と衝突、アーセナルは3年連続でエース級の選手を失っており、リバプールは再建真っ只中、ポジティブなシーズンを送っていたのはチームとしての格が落ちるトットナムとエバートンでした。

また、ファーガソンは少し特殊な監督で、20年以上に渡りマンUの監督を務めていたため、チーム全体から信頼を得ることができており、チームの隅から隅までを掌握する事ができていました。こういっては何ですが、少し古臭いサッカーをしていましたが、それに対して異論をはさんだり、反抗したりする選手は存在しませんでした。今思い返すとファーガソンのチームは、それぞれの役割が効率的かどうかに関わらず徹底されていました。当時からプレイメイカーの不在は指摘されていましたが、プレイメイカーがいなくても、ファーガソンの指示はフィールド上に行きわたっており、選手は迷いなくプレイする事ができました。

そのファーガソンが抜けたことで、ファーガソン時代から抱えていたチームの問題が一気に噴出しました。ダブルボランチの4-4-2でサイドから2トップにボールを入れるサッカーは、古臭く、対応も容易なものになっています。それを指示したのがファーガソンであれば、選手は確信をもって勝利のためにそれを徹底できますが、ファーガソン以外の監督ではその有効性を信じぬくことができません。

チームは長年の積み重ねで4-4-2をベースとした戦術にマッチする選手で構成されているため、チームはその戦術を取らざるを得ませんが、それが通用せず、監督が選手からの信頼を得られない状態に陥ってしまったのが、昨季のマンUと言えるでしょう。

 直近の課題と未来への布石

その状態を脱するためにマンUがしなければならないことは、大きく分けて2つあります。選手の入れ替えとマンUのサッカーのアイデンティティの確立です。

選手の入れ替えについては、マンUの首脳陣も理解しているようで、かなりの資金を投下して改善を進めています。ディ=マリアの獲得に象徴されるように、少々の移籍金が高かろうと、必要なレベルの選手を集めています。ブランド力が低下するリスクに比べれば、一時的な出費など大した問題ではないということを、マンU自身が感じているからこその動きといえます。

問題はサッカーのアイデンティティの確立です。ルイス=ファン=ハールが今期から監督に就任しました。前述の選手の入れ替えという意味では、嫌われ者であることをいとわないファン=ハールは適任と言えますが、サッカーのアイデンティティを確立するという意味では疑問です。ファン=ハールはオランダ式のワイド攻撃とポゼッションサッカーの信望者です。現在は3-5-2をベースにしていますが、ここまでのシーズンで思ったほどの結果は出せず3位に甘んじています。そのテクニカルなサッカーが、マンUというチームのチームカラーなのでしょうか。そういう意味ではファン=ハールの就任はチームに更なる迷走をもたらす可能性があります。

では、誰なら良いのでしょうか。マンUのチームカラーとは何なのでしょうか。意見は様々あるかと思いますが、マンUを象徴するのはピッチ上での闘志ではないでしょうか。チーム全体が球際の争いや競り合いに強く、勝利に向かってひたむきにプレイする事こそが、ファーガソンが作っていたチームの特徴に思えます。ルーニーやクリスチアーノ=ロナウドがワールドクラスの選手に成長したのも、加入してからそういったスピリットを注入されたからだと思うのは私だけではないはずです。そういう基準で監督を選ぶとすると、イメージされる監督は2人います。ディエゴ=シメオネとアントニオ=コンテです。あるいはこの二人の例から学ぶとすると、マンUのOBの誰かということになります。数年後のマンUのベンチに誰が座っているのか、その時のマンUはいったいどういうチームなのか、今からとても楽しみです。

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